The 18th concert


日時 2012年1月27日(金)19:00開演
場所 同仁キリスト教会
入場料 2500円
指揮 佐藤 宏充
台本・演出 森山 太
プログラム Vesperae solennes de confessore KV339
“魔笛(抜粋)” KV620〈夜月編〉
出演 Vesperae solennes de confessore KV339
秋田薫、生駒圭子、辻山洋美、大森寿枝
山口克枝 甲斐川ゆき子、古市尚子
辻端幹彦、井東譲、宇野弘和、生駒文昭、渡部智也
アンサンブル・アマデウス
尾形由美(pf)

“魔笛(抜粋)”〈夜月編〉
夜の女王/滋田聖美
侍女1/生駒圭子 侍女2/大森寿枝 侍女3/山口克枝
男1(タミーノ/モノスタトス)/辻端幹彦 男2(パパゲーノ)/生駒文昭
夜の女王の夫/井東譲 夜の女王の娘(パミーナ)/秋田薫
櫻井由理(pf)

プログラムの内容

Vesperae solennes de confessore KV339
ヴェスペレ「証聖者の盛儀晩課」ハ長調。モーツァルトの2曲のヴェスペレのうちの一曲。
このヴェスペレは、ザルツブルクで作曲されたモーツァルトの最後の教会作品である。女性的な美しさ、男性的な逞しさをかねそなえ、精巧な響きのシルエットが印象的である。ウィーン移住後、バロック音楽に触れる機会を与えてくれたヴァン・スヴィーテン男爵に聴かせるにふさわしい作品として、父に総譜を送るようモーツァルトが依頼したことが、1783年3月12日付の書簡から確かめられている。

“魔笛(抜粋)”〈夜月編〉
一人娘のパミーナを探し続け、彷徨い歩く夜の女王。
彼女は、最愛の娘を失い、夫も亡くし、魔笛も奪われたことから、精神的に塞ぎ込み、正気と狂気の境を行き来していた。
一体彼女に何があったのか、どのような想いで過ごしていたのか。
そしてその果てに見るものは一体何なのか?!

「大地編」「太陽編」に続き、「夜月編」を執筆するにあたって、本来の曲順を変更し、わざと、逆に演奏してみるとどうなるのだろうと思った。
そこで、主人公となる夜の女王のアリアや、それに付き従う三人の侍女たちの歌う曲を抜き出し、逆に並べてみたら、これがまた面白い具合に異なるストーリー性を生み出してしまった。
こうして、あらためて、モーツァルトの天才っぷりを感じたのだが、もちろん問題もあった。
最後の曲は何にするのか?
単純に考えれば、本来一番最初に歌うべきアリア(No.4)が最後になる。しかしそれでどうやって物語を終えられるのか…と思案した挙句、「夜月編」の後に「大地編」が続くような形になれば面白いかもしれない、メビウスの輪のように、コロンブスの卵のように、永遠に回り続けることができれば、もう一つの「魔笛」がここに生まれるかもしれない… こうして出来上がったのが、今回の「魔笛≪夜月編≫」である。

「魔笛」といえば、第一幕では夜の女王が味方でザラストロが悪者扱い、そして第二幕ではそれが逆転する、という解釈がほとんどである。そして、夜の女王のアリア(No.4,14)自体は有名だが、意外とそのキャラクターを裏付けするようなシーンは描かれていない。
今回の三部作において、「タミーノ・パパゲーノ」(大地編)、「ザラストロ」(太陽編)、「夜の女王」(夜月編)、それぞれが主人公になった場合、一体その主人公たちはどのような想いを抱いているのかを描くことができた。それぞれ違った立場から、新しく「魔笛」を眺めることができた。

今回は、曲を、敢えて逆順で構成したことで、物語は「夜の女王の回想」となった。
そのことで、本編の「魔笛」では決して語られることのない、夜の女王の心的感情を描き出すことができたと思う。
ぜひ、夜の女王の人生を垣間見ていただきたい。


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