The 10th concert


日時 2006年12月2日(土)18時半開演
場所 同仁キリスト教会
入場料 2500円
指揮 佐藤 宏充
出演 秋田薫 大泉みゆき 大森寿枝  滋田聖美 高橋知子 辻山洋美
山川一江 山口克枝
伊藤馨 井東譲 辻端幹彦
生駒文昭 富塚研二 中瀬日佐男(賛助出演)
原梨花子 伊藤直人 酒井 恒蔵 玉置一義 古川毅(アンサンブル・アマデウス)
大熊敏子 櫻井由理(Pf)
多川智子 関口那々子(1stVn) 寺下真理子 寺島貴恵(2ndVn) 門脇大樹(Vc) 栗田涼子(Cb)
プログラム レギナ・ツェリKV276(321b)
ヴェスペレ(晩課) KV321
四手のためのピアノ・ソナタ ニ長調 KV381(123a)
戴冠式ミサ KV317

プログラムの内容

レギナ・ツェリ
この曲は自筆府が残っていないので、正確な作曲年が不明である。なお、この曲はヴィオラが含まれていないので、ザルツブルク聖堂で演奏されたであろうことは間違いないと思われる。モーツァルトはRegina Coeli(天の女王)という曲をkv108、KV127、KV276の計三曲書いている。この曲は他の二曲のRegina Coeliと異なり、カンタータ形式をとらず、最初から最後までAllegroの一曲のみでできている。またソロも前二曲のようなコロラチューラはなく、ソロカルテットとしてかたまりを作り、合唱と一体となっている。
この曲の魅力は何といってもAllelujaの扱いである。何度となく出てくるヘンデルのメサイヤの中のハレルヤコーラスのような「Alleluja,Alleluja」というAllelujaという叫びや最後のユニゾンのAllelujaなどは大変に印象的である。

ヴェスペレ(晩課)
晩課というのは聖務日課の一つでだいたい夕暮れ時くらいに行われた。その内容は晩課の種類のよって多少異なるが、主に詩篇をいくつか読み、最後にマニフィカトを唱えるのがだいたいのパターンであった。 モーツァルトはこうした晩課の中で「主日のための晩課」と「証聖者のための晩課」にそれぞれ一曲づつ曲を書いている。前者がKV321の晩課、後者がKV339の晩課である。それぞれ5つの詩篇とマニフィカトより構成されている。ここで不思議なのは前者(主日のための晩課)の場合その式次第では5番目の詩篇が第113篇であるべきなのに後者(証聖者のための晩課)と同じ第115篇の詩篇が使われていることである。 要するにKV321とKV339は両者ともまったく同じ詩篇から構成されているのである。カルル・ド・ニ氏の「モーツァルトの宗教音楽」によればKV321はモーツァルトの自筆譜には「証聖者のための・・・」と書いてあるとのことである。(相良憲昭訳同書p99)いずれにせよこれら二曲はそのオーケストラの構成から(ヴィオラがない、ホルンがある)ザルツブルク大聖堂で演奏するために作られたものであることはまちがいない。これら二曲はモーツァルトの書いた宗教音楽としては最高峰であり、KV243の連祷などとともにもっともっと世間で演奏されてよい曲であろう。

四手のためのピアノ・ソナタ ニ長調
モーツァルトは5曲の1台4手用ピアノソナタを残した。KV381はこの曲が1781年にウィーンで書かれたと思われていたからであるが、作品の草稿を姉のナンネルが持っていたことと、1772年にザルツブルクでモーツァルト姉弟が弾いた四手ソナタがこのニ長調ではないかと推定されるようになり、同年の作として若い123aの番号が与えられた。モーツァルト16歳のときの作品で、ナンネルとの共演用のものである。
第1楽章…アレグロ、第2楽章…アンダンテ、第3楽章…アレグロ・モルト

戴冠式ミサ
このミサ曲は従来1779年3月にザルツブルク近郊のマリア・クライン教会というところに聖母像の戴冠が行われる際に演奏するために書かれたとされてきたが(そのために「戴冠式」のニックネームがある)ザルツブルク大聖堂での復活祭のためのものとも言われている。 このKV317はおそらくモーツァルトの書いたミサ曲の中ではもっとも有名なものであろう。有名なだけに確かに名曲である。グロリアとクレドがカンタータ形式でないので一応はミサブレビスなのであろうが全体の演奏時間は30分ほどかかるのでミサブレビスとミサソレムニスの中間くらいの規模の曲である。
このミサ曲を書いた時にモーツァルトはまだ弱冠23歳であるが、すでに大家の領域に達し、その筆は練達のものである。それまでのミサ曲とは別格という感じを受ける。このミサ曲では厳格なフーガはまったく使われておらず、イタリア的な明るく親しみやすい旋律が多数現われる。こうしたミサ曲らしからぬ親しみ易さがこの曲をポピュラーなものとした要因といえようか。それにしてもこのミサ曲では各楽章すべてがハ長調であるのに聴いていてまったく飽きがこないのは不思議である。
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