The 16th concert


日時 2010年4月15日(木)19時開演
場所 同仁キリスト教会
入場料 2500円
指揮 佐藤宏充
出演 秋田薫 高橋知子 辻山洋美 小田麻子
大森寿枝 山口克枝 笹子まさえ
辻端幹彦 井東譲 生駒文昭 渡部智也
アンサンブル・アマデウス
(三枝祐子 後藤岸子 酒井恒蔵 古川 毅)
大熊敏子(Pf)、尾形由美(Pf)、太田恭子(Pf)
プログラム ミサ・ロンガ ハ長調 KV262(246a)
「魔笛」 KV 620より「笛のアリア」
辻端幹彦 pf.太田恭子
静けさはほほえみつつ  KV152 (210a)
辻山洋美  pf.大熊敏子
モテト「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」 KV165 より「アレルヤ」
秋田薫  pf.大熊敏子
ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたとき KV520
笹子まさえ  pf.大熊敏子
「ポントの王ミトリダーテ」 KV87(74a) より ファルナーチェのアリア「行っ て、私の過ちを明らかにするために」
山口克枝  pf.大熊敏子
「フィガロの結婚」 KV492より スザンナとフィガロの二重唱 「5、10、20…」
渡部智也 小田麻子  pf.大熊敏子
「ドン・ジョヴァンニ」 KV527より ドン・ジョヴァンニとツェルリーナの二重唱「手を取りあって」
生駒文昭 高橋知子  pf.太田 恭子
オペラ「魔笛」 KV620より 「忍びこめ、そっと、そっと!」〜「フィナーレ」
全員 pf.大熊敏子

プログラムの内容

「魔笛」 KV620                             
モーツァルト最後のオペラ(ジング・シュピール)。旅一座の座長シカネーダーの依頼に より作曲。 お伽噺のような世界と、宗教的・哲学的な内容を音楽によって融合させている。
・第1幕 第8曲「笛のアリア」
王子タミーノが魔法の笛を手に、旅を続けているところ。
笛の魔力で、森の動物たちも親しげにタミーノに近づいてくる。しかし、ふと、パミーナ 姫の身を案じ、不安に駆られる・・・など、青年の心の動きが良く表現されている。
・第2幕 第21曲「忍びこめ、そっと、そっと!」〜 「フィナーレ」
モノスタトスは、夜の女王と3人の侍女たちを、ザラストロの神殿へ手引きする。闇の中 で交わされる契約。「成功したときは、パミーナはそなたのもの」。そこに、ザラストロ が人々とともにあらわれ、一味は地獄へ。人々の歓喜の声と共に、幕は閉じる。

静けさは ほほえみつつ KV152 (210a)                   
静けさはほほえみて。こんなに生き生きとした魂の中で…。
あなたには さげすみや恐れの跡は 少しも残っていません。
愛しい人よ いらして下さい。優しい絆を結びに…。
それは わたしにとって この上無い 喜びです。
1775年作曲。最後のイタリア旅行から帰国し、母とマンハイム、パリへの旅に出発するま で、ザルツブルクに留まっていた頃の作品。モーツァルトの数少ないイタリア語によるカ ンツォネッタ。
憧れのイタリアから、故郷に戻り、どんな思いで書いたのでしょうか。彼ほどの作曲家が 、勤め人の辛さを味わっていたことを思うと、自由への思いがより深く感じられてきます 。

モテト「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」KV165 より「アレルヤ」 
1772年、16歳のモーツァルトは3度目のイタリア旅行に出発する。
このモテットは、オペラ・セリア《ルチオ・シッラ》の上演のために滞在したミラノで、 1773年 モーツァルトお気に入りのカストラート歌手、ヴェナンツィオ・ラウッツィーニ のために作曲された。ラテン語のテキストを用い、外見は伝統的なモテットのスタイルを 受け継ぎつつも、当時のイタリアにおける教会音楽のオペラ的スタイルを吸収した音楽を 展開している。
幸せな喜びに満たされたこの作品は、3つの章に分かれており、最後の章のアレルヤが特 に有名である。第3楽章のテキストは「アレルヤ」という言葉のみで、その意味は、「神 (yah ヤハ=ヤハウェ)を誉め讃えよ」で、神を賛美する言葉である。この曲のテキスト は宗教的な内容だが、まるでオペラのアリアを聴くような華やかさがあり、ソプラノ独唱 を独奏にした協奏曲のような華麗な作品である。

ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時 KV520
モーツァルトの友人であり弟子でもあったジャカンが、宮中顧問官グライナ邸で歌う目的 で、モーツァルトに作曲を依頼した。ところがモーツァルトは一向に作曲しなかったため 、業を煮やしたジャカンは彼を呼びつけ、自室に閉じ込めて作曲させたという話がある。
自筆譜に「ジャカンの部屋にて」と書いているのはそのためである。ジャカンはこの 歌曲をあくまで自作と偽り、恋人のファン・アルトモンテ嬢に献呈した。当時のモーツァ ルトは既に金銭に困っており、裕福な友人に版権を売ったといわれる。嫉妬の炎を燃やし て、裏切った恋人からの手紙を焼く女性の内面劇であるが、手紙の燃える炎と内面の荒れ 狂う炎とがピアノの細かい分散和音に交錯し高潮し、それでも未練を絶ち切れず、愛情の 炎が胸に燃え続けているのをはっと感じている。

「ポントの王ミトリダーテ」KV87(74a) より  ファルナーチェのアリア「行って、私の過ちを明らかにするために」
1770年モーツァルトが14歳のときの作品。ボローニャのフィルミアン伯爵の依頼で作曲を はじめてわずか1ケ月半ほどで完成。ミラノ宮廷劇場にて、モーツァルト自身の指揮で初 演され、大成功を収めた。
ローマ帝国に接する小国の王、ミトリダーテの長男、ファルナーチェにはイズメーネとい う許嫁がいるが、ファルナーチェは今や、別の女性を愛している。それは父・ミトリダー テが無理やり妻にしようとしている美しい未亡人、アスパージア。そのことをミトリダー テに話すというイズメーネに対し、「私の心変わりや想いを寄せる相手を父・ミトリダー テに告げるなら、私は命を失うことになるだろう。この復讐の代償はあなたにとって高く つく。それはあなたにとって苦しみ以外の何物でもないだろう」と、歌うアリアです。

「フィガロの結婚」KV492より スザンナとフィガロの二重唱「5、10、20…」
モーツァルトは36年という短い生涯の中で、当時のあらゆるスタイルに精通し、600以上 の作品を残しています。その中でもモーツァルトはオペラへの関心が非常に高く、生涯を 通じてその作曲に情熱を注ぎました。
オペラ『フィガロの結婚』はモーツァルトのオペラ作品では最も有名といえます。物語の 舞台は17世紀頃のスペインのセヴィリア、主人公の一人であるアルマヴィーヴァ伯爵が浮気心を起こし、従者フィガロの許婚者のスザンナを我がものにしようと企むことから巻き 起こる、ある一日の物語です。
この二重唱はオペラの冒頭に歌われる二重唱です。部屋の寸法を測っているフィガロに対 し、スザンナは花で飾られた帽子をかぶった自分の姿を見て、と語りかけます。結婚を間 近に控えた二人の喜びが伝わってくる二重唱です。

「ドン・ジョヴァンニ」KV527より ドン・ジョヴァンニとツェルリーナの二重唱 「手を取りあって」
ドン・ジョヴァンニとは14世紀には実在したとされる人物で、スペインの伝説的な好色の 若い貴族、スペイン名ドン・ファン・テノリオ。16世紀後半から17世紀前半にかけて、ス ペイン文学の興隆期に格好の素材になっている。モーツァルトのオペラでは、次々に 女性を口説いていく無類の女たらしが、人を殺すところから始まる。最後には晩餐にやっ てきた石像から、これまでの行いを悔い改めるよう迫られるが、受け入れない。ついにジ ョバンニは地獄へと落ちてしまう。初演は、1787年10月、プラハにて大成功をおさめた。

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